【停電対策 #2】V2Hの導入費用はいくら?本体・工事・周辺費用の見方
V2Hの費用は、本体価格だけでは分かりません。車両と住宅をつなぐ機器に加え、切替設備、分電盤、配線、基礎、電力会社との協議などが必要になるためです。
この記事では、助成金を差し引く前の費用だけを扱います。東京都や国の制度は第3回で確認します。先に助成額を入れず、自宅へ設置するための総額を作ることが目的です。
公開価格は「何を含むか」まで読みます
2026年9月7日時点で確認できるメーカーの公表例には、次のものがあります。
| 製品 | メーカー公表額 | 金額に含まれない・別途確認するもの |
|---|---|---|
| ニチコン EVパワー・ステーション VSG3-666CN7 自動切替開閉器付き標準モデル | 128万円(税別) | 工事費。実際の取引価格は販売店へ確認 |
| Honda V2H Stand | 本体110万円(税込) | 設置工事、切替分電盤、必要なケーブルや部材 |
| Honda V2H Standの導入例 | 本体、分電盤その他、設置工事費で約200万円から | 住宅条件により変動。メーカーが示す個別見積もりではない |
ニチコンの128万円は本体の希望小売価格で、工事費は別です。Hondaの110万円も本体価格で、公式ページは本体・分電盤など・工事を含む支払総額を約200万円からと案内しています。同じ「価格」でも範囲が違うため、110万円と128万円だけを比べても導入総額の比較にはなりません。
旧製品や販売終了品の価格が検索結果に残っていることもあります。たとえばニチコンのVCG-666CN7は、公式ページで2026年2月の生産終了が案内されています。安く見える過去価格を、現在購入できる機種の相場として使わないようにします。
費用を6つに分けると、見積もりを比べやすくなります
見積書は、少なくとも次の6区分に分けてもらいます。
| 区分 | 主な内容 |
|---|---|
| V2H本体 | パワーユニット、充放電コネクター、操作部 |
| 切替・分電盤 | 自動切替開閉器、分電盤、ブレーカー、特定負荷盤 |
| 配線・電気工事 | 電源線、通信線、保護管、接地、計測用センサー |
| 設置・建築工事 | 基礎、壁貫通、防水、搬入、固定、外構の復旧 |
| 手続・試運転 | 電力会社との協議、申請、設定、停電動作の確認 |
| 維持・将来費用 | 点検、通信環境、保証外修理、撤去・交換 |
「標準工事一式」とだけ書かれていると、追加費用が生じた理由を確認しにくくなります。本体型式、数量、単価、配線距離、分電盤の変更、基礎工事を分けて記載してもらうと、複数社の見積もりを同じ条件で比べられます。
工事費は、駐車位置と分電盤の距離で変わります
同じV2Hでも、家ごとに工事内容は異なります。影響が大きいのは、V2Hを置く場所から分電盤までの経路です。
- 駐車位置と外壁・分電盤の距離
- 配線を地中、外壁、天井裏のどこへ通すか
- コンクリートへの基礎工事や掘削が必要か
- 壁貫通部の防水・防火処理が必要か
- 既存分電盤を交換するか、別の盤を追加するか
- 塩害、積雪、浸水、直射日光への対策が必要か
- 車両の充電口へケーブルが無理なく届くか
現地調査前の概算は、上限ではありません。図面と写真だけで分からない項目がある場合は、どの条件で追加費用になるのかを見積書に残します。
給電範囲と200V対応で、必要な設備が変わります
停電時に特定の回路だけへ給電するのか、住宅全体の分電盤を対象にするのかで、切替設備と工事が変わります。エアコン、IHクッキングヒーター、エコキュートなど200V機器を使いたい場合は、V2H本体の仕様だけでなく、停電時の出力、分電盤、車両側の制御まで確認が必要です。
全負荷型を選んでも、家電をすべて同時に使えるとは限りません。出力を超えると停止する可能性があるため、第1回で作った「停電時に残したい機器」の一覧を施工店へ渡します。
費用を抑えるために特定負荷へ絞る場合も、対象回路を後から簡単に変更できるとは限りません。冷蔵庫、通信、照明、給湯など、停電時の優先順位を決めてから盤の構成を選びます。
車両・太陽光・蓄電池は別見積もりにします
V2Hと同時にEV、太陽光発電、蓄電池、エコキュートを導入すると、総額は大きくなります。設備ごとの費用と、連携のための共通工事を分けます。
V2H単体の費用
+ 他設備の本体・工事
+ 連携に必要なパワーコンディショナーや制御機器
- 重複せずに済む共通工事
= 助成前の導入総額
車両価格をV2Hの設備費へ混ぜると、V2H同士の比較ができません。太陽光や蓄電池も同様です。将来追加する予定なら、今の見積もりに「将来接続するための配線・空き回路」と「追加時に交換が必要な機器」を記載してもらいます。
2社以上へ、同じ条件で見積もりを依頼します
見積もりを比較する前に、各社へ同じ情報を渡します。
| 渡す情報 | 確認したい内容 |
|---|---|
| 車両 | 車名、型式、年式、納車予定、充電口の位置 |
| 住宅 | 図面、築年、分電盤、契約容量、太陽光・蓄電池の有無 |
| 駐車場所 | V2Hの設置候補、分電盤までの距離、屋外環境 |
| 停電時の希望 | 全負荷か特定負荷か、使いたい100V・200V機器 |
| 将来計画 | EVの買い替え、太陽光・蓄電池の追加予定 |
比較するときは合計額だけでなく、型式、保証、施工範囲、除外項目、追加費用が発生する条件、停電時の操作説明まで見ます。安い見積もりに必要な切替設備や試運転が含まれていなければ、同条件の比較ではありません。
回収年数は、自宅の実績値を入れて計算します
V2Hで電気料金が下がる可能性はありますが、効果は電力契約、充放電の時間帯、太陽光の発電、走行距離、車両の在宅時間、変換ロスで変わります。メーカーや施工店のモデルケースを、そのまま自宅の節約額にしないでください。
計算する場合は、導入前の電気使用量と料金、EVの充電量、昼夜別の単価、太陽光の余剰電力量を一定期間記録します。導入後も同じ項目を測り、季節差を含めて比較します。電池劣化や修理費を無視した単純な割り算だけで、回収年数を確定しないことも重要です。
助成前の総額ができたら、次に使える制度を確認します。第3回では、2026年9月7日時点の国と東京都の受付状況、金額、申請順序を分けて整理します。
